2015AW SEPT BLEUSテーマ
「SENSE OF WONDER」
久しぶりに京都を訪れた際に、いつものお気に入りのお寺の入り口の大きな木の下を通り、圧倒的な自然のパワーを感じ、心や体がつつまれるような、洗われるような心地よい気持ちを感じました。
レイチェルカーソンの「SENSE OF WONDER」という本の中に書いてある、子供の頃に体感した自然とのふれあいが、大人になった時に自然によってもたらされる圧倒的な力のすばらしさを感じる力になるということ。
私も子供の頃郊外の住宅地の中ではありましたが、たくさんの自然に囲まれて育ちました。
近くの裏山の森の中を探検したり、草や花を摘んでおままごとをしたり、夏は海で思い切り遊んだり、そんなことの1つ1つが製作やインスピレーションの源になっているような気がします。
小さな頃の頃を少し思い出しながら、今回は自然への畏怖と感謝を込めて帽子を作りました。
今回、テーマのひらめきになったのは、京都にある青連院というお寺に久しぶりに訪れた時のこと。
今回はいつもとは違う夜の特別参拝の時間に合わせて訪れました。
その日も、たくさんの人で賑わい、入り口付近の木々は、人工的に光に照らされている中でも、自然の圧倒的なパワーを放っていました。
こんなに人が賑わっていても、何百年も生きづいてきた自然のパワーは薄れることはなく、自然のシャワーを浴びて、気持ちが洗われるような感覚を久しぶりに感じました。
そんな時に、レイチェル・カーソンの「SENSE OF WONDER」という本に出会い、自分の子供の頃に自然に触れた経験は、今の製作につながっているのではないかと改めて感じました。
子供の頃、シロツメグサで冠をつくったり、4つ葉のクローバーを一生懸命探したり、椿の蕾や花を摘んで、一枚一枚はがしておままごとにして遊んだり、桑の実をつんで食べたり、つつじの蜜をいくつも吸って遊んだりと不思議と思い出すのは、ひとつひとつの小さな自然との触れ合いです。
その頃に着ていた洋服の色合いなども、今使っている色に影響があるような気がしています。私が思い出すのは、グリーンとネイビーのチェックのスカート。子供の頃はピンクに憧れを持っていましたが母にあまり着せてもらえなかったので、ブルー、グレー、ブラウンやオフホワイトに赤やオレンジなど母ごのみの色合いのものが多かったように記憶しています。
人それぞれの自然とのふれあいには物語があり、またそれが影響していろいろなことにつながっていくのではないかと改めて感じる今日この頃です。
今回は、今まであまり使ってこなかったグリーンや、ライトブルー、アイボリーに加えて、定番色の黒のウールのニットをオリジナルで製作しました。ニットに合わせて、グリーンの新色のブレードや、アイボリーの少し明るいブレードも作りました。グレーを基調に、グレーのバリエーションのブレードも何色か新色で製作しました。
2015SS SEPT BLEUSテーマ
「SIMPLE」
それぞれの帽子に合う素材、デザインを突き詰めて考えていくと、シンプルに行き着く。シンプルなものは力強く美しい。それは考え抜いて出来上がるもの。
そんな風に帽子を作っていきたいと思う。
2015SSのテーマは「SIMPLE」になりました。もともと、装飾的な帽子に憧れて帽子作りをはじめたのですが、製作を続けていく中で作りたいものは日々変化していくもので、今は私の考えるシンプルな方向に向かっているようです。
通常、素材から入ってデザインを考えていくので、より素材と帽子のフォルムの調和に興味が出て来たのかもしれません。
帽子のブレードも新色で、ダークブルー、ダークグレー、パープル、イエロー、ラメのものはレッド、パープル、ライトゴールド、黒、ネイビーの単色のものを新たに製作しました。色合いに変化がつき、新しい色のバリエーションも増えました。色使いはシンプルとは言いがたいですが、たくさんのカラーバリエーションのものを見るとやはりきれいだと思ってしまいます。
取り扱い店舗によって色や形のセレクトも違っていますので、よろしければ、お店に足を運んでみてください。
シンプルで象徴的なコサージュを作りたいと思い、今回も私のイメージ通りに村上伊万里さんにとても素敵なコサージュを製作していただきました。
UNIQUE LINEで使用している、くるくるとしたつるのコサージュは今回のシンボル的なモチーフになっています。
自分が愛用しているものもシンプルだけれど、ユニークであたたかみがあり使うほどに自分になじんでいくものが増えてきました。SEPT BLEUSの帽子もその様に使っていただけたら嬉しいです。